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バナナ豆乳投げつけ事件の後から、藤代君の姿を一度も見ていない。
いつもなら振り向くと後ろの壁の陰に居たのに。
「光太、次僕達の番だよ」
「やっぱり俺が悪いのかな?」
「光太ってば。何言ってんの?」
スタートラインではあだ名がゴリラマッチョの体育教師が「早く並べ!」と声を荒らげている。
うるさいよ、ゴリラマッチョ。
言われなくても行くっての。
「あ、光太。靴……」
スタートラインに立ちゴリラマッチョの合図で走り出そうとすると。
「うわっ!」
解けていた自分の靴紐を自分で踏んでしまい、思いっきり前のめりで転んでしまった。
痛いより恥ずかしい。
クラスメイトも失笑だよ。
「大丈夫!? だから言ったのに」
翼は心配して駆け寄ってくれたがゴリラマッチョまで笑いを堪えていて、結局スタートをやり直しになった。
うぅ……膝ぶつけて手擦りむいた。
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