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何だかモヤモヤがスッと消えていくのを感じて顔を上げると、三世寺先輩に顔を逸らされた。
「……すまない」
「謝るのはこっちですよ。変な相談に乗ってもらっちゃって。でも三世寺先輩のお陰でモヤモヤがスッキリしました」
「……そうか」
何故か三世寺先輩は手で顔を覆って肩を落としている。
「……俺は最低だ」とか呟いて。
え、何で落ち込んでるの?
俺何かしたっけ?
「あの、ありがとうございます。三世寺先輩に話を聞いてもらえて良かったです」
落ち込む三世寺先輩を励ますつもりでニッコリ笑ってお礼を言ったのに。
「……そんなに無邪気に微笑まれると、胸が痛い」
更に落ち込ませてしまった。
どうしたもんかと思っていると、授業開始のチャイムが鳴り響く。
ヤバイ、休み時間終わっちゃったよ。
「三世寺先輩、授業始まっちゃいましたよ。教室戻らないと!」
慌てて椅子から立ち上がる俺の手を、三世寺先輩が引き留めるように掴んできた。
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