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「三世寺先輩?」
「……また、こうして話をしてくれるか?」
真っ直ぐに俺を見つめる三世寺先輩の目が不安そうに揺れている。
そっか、三世寺先輩も同じ時代劇好きの友達が居なくて寂しいんだろうな。
「もちろんですよ。今度はゆっくり将軍様について語り合いましょうね」
「……将軍様? あ、あぁ、そうだな」
スルリと手を解いて、三世寺先輩が「……楽しみにしてる」と穏やかに微笑んだ。
それから一緒に教室に戻ろうと声を掛けたが、三世寺先輩は「……もう少しここに居る」と保健室に残っていた。
具合でも悪かったのかな?
「さて、と」
モヤモヤは晴れたが藤代君にどう話したらいいものか。
そもそも藤代君にしばらく会えてないのに。
「なるようにしかならないよな。考えても解んないし。どうにでもなれ!」
教室に戻る途中の廊下で、ケガの軽い右手で拳を作り気合いを入れて高々と掲げていると、授業中の教室から出てきた先生に「静かにしろ! どこのクラスだ?」と叱られてしまった。
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