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食堂に行くには二人の傍を通り過ぎなきゃ行けない。
遠回りでも別ルートで行こうかと二人に背を向けた所で。
「コウ」
宮園様が俺の名前を呼んだ。
「……」
怖くて振り返れないまま立ち止まっていると、いきなり腕を掴まれて無理矢理振り向かされる。
「呼んだら気付けよ」
「え、宮園様?」
「つーか、どこに行こうとしてんだ、お前は」
「いや、その……」
上手い言い訳も思い付かず宮園様の背後に視線を向けると、少し離れた所から藤代君がじっと俺を睨んでいた。
「昼飯行くだろ?」
「宮園様、手……」
「悪ぃ、痛かったか」
宮園様に手を離されるのと同時に、藤代君が隠れるように教室に入って行く。
「あの、藤代君は?」
「誰、それ」
「さっき宮園様と話してた可愛い子ですよ」
宮園様、名前を知らなかったっけ?
でもさすがに顔は覚えてるよね。
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