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売店で飲み物と宮園様はお弁当、俺は惣菜パンを買って屋上へ続く階段へ向かう。
外が冷え込んできたから、屋上へは出ないでその近くの階段の踊り場での昼食。
まぁ、ここも寒いけど宮園様が人が多い所を嫌がるからね。
階段の段差に宮園様と並んで腰掛ける。
売店のビニール袋からサンドイッチを取り出していると、宮園様が俺の左手にそっと触れた。
「何ですか? ハムカツサンドはあげませんよ?」
「要らねぇよ。で、この手どうしたんだ?」
指先が掌のガーゼをそっと撫でる。
「あ、コレ? 体育の授業中に転んじゃって」
「また転んだのかよ。足腰弱ってんじゃねぇの?」
「足腰の問題じゃなくて靴紐の所為ですよ」
「何だ、それ」と言いながら、宮園様が呆れたように笑った。
宮園様、最近よく笑うよな。
前は常に眉間に皺を寄せて睨んでたのに。
宮園様にも人間らしい感情があったって事だろうな……って、こんな事言ったらまた叩かれそうだ。
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