12450人が本棚に入れています
本棚に追加
手をケガしているから紙パックのイチゴココアのストローが上手く差せない。
四苦八苦していると宮園様に「貸せ」とイチゴココアを奪われ、ストローを差して「ほら」と手に戻された。
「ありがとうございます」
「別に」
ちょっと擦りむいただけなのに、宮園様に心配させちゃったかな?
三世寺先輩の手当てが大袈裟な所為もあるんだろうけど、これも三世寺先輩の優しさだ。
後でまた改めてお礼を言わなきゃ。
「そういや、さっきのヤツ」
「え!?」
「藤代とか言ったっけ。前にお前と一緒に居なかったか?」
今頃思い出したんですか。
そうです、一緒に居た事があるし、背後にずっと居た事もありますよ。
「お前の知り合い?」
「えぇ、まぁ……」
さっき睨み付けられた藤代君を思い出し、まだ痣が残る頬に指先でそっと触れる。
藤代君に嫌われちゃったしな、俺。
俺は藤代君は面白い子だと思ってたから、結構好きだったんだけど。
.
最初のコメントを投稿しよう!