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放課後、売店で買ったお菓子を手に生徒指導室へ行った。
三世寺先輩が居るか解らないけど、風紀委員の誰かが居れば代わりに渡してもらえるだろうし。
「失礼します」
ノックをしてからドアを開けると、指導室には薬師堂先輩一人。
机に向かって何やら作業をしていた。
「風紀委員に入る気になったのか?」
薬師堂先輩、第一声がそれですか。
「入りません。あの、三世寺先輩は?」
机の上の書類に向けていた視線を俺に向け、薬師堂先輩の癖なのか指で銀縁メガネを押し上げる。
「三世寺なら『素振りをして精神統一をしたい』と道場に行った。今日は稽古の日じゃなかった筈なのにな」
「そうなんですか」
手当てのお礼にと思ってお菓子を買って来たのに、やっぱり三世寺先輩は忙しい人なんだな。
「じゃあコレ、三世寺先輩に渡しておいてもらえますか? ホントは直接渡したかったんですけど」
薬師堂先輩にお菓子を袋のまま渡すと「直接渡してやれば、アイツも喜ぶだろうに」と袋を机の上に置いてポツリと呟いた。
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