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「怪我の手当ての礼だろう? 石渡君は義理堅いのだな」
「知ってるんですか?」
「事情は大体知っている。三世寺は俺に隠し事は出来ない質だ」
椅子に座ったまま、薬師堂先輩が足を組みニヤリと笑う。
「なかなか面白い事になっているみたいだな。ピーマン君とは何者なんだ?」
三世寺先輩、ピーマン君の事まで薬師堂先輩に話したのか?
そりゃ、相談した内容を内緒にしてほしいって言った訳じゃないけど。
「安心しろ、相談事の内容までは詳しく聞いていない。ただ、ピーマン君が誰かと三世寺が呟いていたのを耳にしただけだ」
そうだよね、三世寺先輩は真面目そうだから口が軽いようには見えないし。
ホッと胸を撫で下ろしている俺を、薬師堂先輩が探るようにじっと見つめて。
「石渡君もあのバカと同じなんだろうな」
意味不明な言葉を吐いた。
「あのバカって……山本先輩ですか?」
「他人の事には鋭いのに自分の事となると鈍い」
失礼だな、俺は鈍くなんかないですよ?
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