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放課後の掃除の時間、担当する売店前の廊下にジャンケンの声が響き渡る。
ウチの学校のゴミ収集場所は校舎の裏にある小さなプレハブ小屋で、掃除の時間にゴミを捨てに行くには外に出なくてはいけない。
夏場は暑いから誰も行きたがらないが、それは冬も同じ。
「うぅ……負けた」
パーの形にしたままの手を震わせる。
何でみんなして示し合わせたようにチョキ出してるんだよ。
俺一人だけパーでストレート負けだよ。
「ごめんね、光太」
名簿順による掃除当番の班分けで一緒の翼までがチョキを出していた。
一班6人も居るのにストレート負けって……何か切ない。
「いいよ、負けは負けだし。行って来る」
燃えるゴミを詰めた半透明のビニール袋を持ち上げ、「外は寒いんだろうな」と遠い目をしてみるが。
「ゴミ捨て行ったら掃除終わりだから、先生に報告しとくな。じゃ、帰ろうぜ」
無情にも班長がさっさと帰ろうとしている。
いいよ、行って来ますよ。
「光太、僕待ってようか?」
「大丈夫、翼も先に帰ってていいから」
翼の申し出を丁重に断り、ゴミ袋をガサガサと揺らしながらゴミ収集場所のプレハブ小屋へ向かった。
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