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「おい、コウ」
「すいません、すいません……」
宮園様に嫌な思いをさせたかもしれない。
ここは土下座で謝るしかないかと思っていると、俺の顔に影が掛かる。
「コウ」
未だに顔を隠している手の甲に柔らかい感触が触れて。
「誘ったのはお前だからな」
宮園様に指を食まれた。
な、何ですか、コレは!?
「さ、誘ってません!」
俺の上に覆い被さる宮園様の身体を突き飛ばし、慌てて起き上がりトイレに逃げ込んで鍵を閉めた。
顔が熱くて、心臓が痛いくらいドキドキしている。
「コウ、出てこい。悪かったよ」
「放っておいてください!」
赤くなっているであろう顔を見られたくなくてしばらく籠っていたが。
「お前の分のケーキ、食っちまうぞ」
「それはダメ~!」
ケーキの誘惑には勝てず、籠城はあっさり終わった。
やっと俺にも解った。
そっか、俺、宮園様に恋しちゃってるんだ。
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