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戸惑っている翼を連れ込んだのは、廊下の端にある階段の隅。
ここなら誰も来ないだろうから、話を聞かれる心配は無い。
「翼、驚かないで聞いてね」
翼の両肩をガッシリ掴んで、じっと翼の目を見つめる。
「俺……宮園様に恋しちゃってるんだ」
「うん、知ってるけど?」
……知ってる?
何で翼が知ってるの?
俺だって知らなかったのに!
翼の肩から手を離し呆然としている俺に、翼が「やっと気付いたんだ」と嬉しそうにキラキラした眼差しを向けていた。
「前に光太に尋ねた時に『恋してない』って言ってたから、まだ気付いてないんだなって思ってたんだよ」
「翼は気付いてたの?」
「うん。多分光太は宮園さんが好きなんだろうなって」
翼は洞察力が鋭いんだろうか。
それとも俺が気付いてないだけで解りやすかったとか?
「良かったね、光太」
まるで自分の事のように喜ぶ翼に、照れくさくも「うん」と頷く。
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