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「光太はさ、自分が恋愛するって考えた事無かったでしょ? 他人事みたいに考えてなかった?」
言われてみればその通りだ。
翼に恋人が出来たのを知った時も、どこか自分には関係無い話だと思ってた。
そりゃ、いつかは母さんみたいな可愛いお嫁さんを貰って、平凡ながら幸せな家庭を作るんだとぼんやり考えてた。
でもそれは、ずっと先の話で。
自分が誰かを好きになるなんて、想像もしてなかった。
「じゃあ、宮園さんに告白したの?」
「こっ、告白!?」
火照る頬のまま、ブンブンと勢い良く首を左右に振る。
「し、しないよ!」
「そうなの?」
今度はブンブンと首を上下に振った。
「好きだって言うの、恥ずかしいもんね。僕だって言えなかったけど、隼人の方から『好きだ』って言われてやっと言えたし」
その時の事を思い出しているのか、翼の頬が赤く染まっている。
「あの時の隼人、カッコよかったな」なんて呟きながら。
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