12451人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、カバン! ありがとうございます」
「それはさっき聞いた」
「そうじゃなくて、えっと……お礼にジュース奢りますよ」
「要らねぇよ」
違う、俺が言いたいのはこんな事じゃなくて。
宮園様に優しくされて嬉しいんだって伝えたいのに。
言わないって決めた筈なのに、自覚したら気持ちが溢れてくる。
もしかして俺、自分が思ってる以上に宮園様が大好きなんじゃないか?
「コウ?」
「す、すいません」
宮園様の制服の裾を掴んでいた手を離し、気まずくて目を伏せていると、宮園様に頭をガシガシと乱暴に撫でられる。
「ここが学校じゃなけりゃな」
「え?」
「何でもねぇ。ジュースは要らねぇけどカツサンドは奢れよ」
ガシガシと撫でていた手で、誤魔化すようにペチリと軽く額を叩かれた。
うん、やっぱり俺、宮園様が好きだな。
……すぐ叩くけど。
.
最初のコメントを投稿しよう!