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アドレス交換したのが嬉しかったのか、三世寺先輩が自分のケータイを見つめながら穏やかに微笑んでいる。
まぁ、俺も友達が増えて嬉しいけどね。
中学校を卒業するまで隣の市にあるばあちゃんの家に住んでいたから、この学校に入学してからは中学の時の友達とも離れてしまった。
クラスの人達は中学時代からの友達同士で固まってる事が多かったから、何となく疎外感を感じて。
だから俺は、この学校では同室でもあった翼しか友達が居なかったんだ。
別にコミュ障とかじゃないぞ。
「……石渡、光太郎」
「はい、何ですか?」
「……名前で呼んでも構わないか?」
それは友達として仲良くなる為の第一歩ですね。
「いいですよ、好きなように呼んでください」
ニッコリ笑って答えると、三世寺先輩は「……光太郎」と愛おしそうに俺の名前を呼んだ。
みんなして俺の名前を『長い』だのと文句を言ってアダ名で呼んでいたから、まともに名前を呼ばれるのって久しぶりかも。
うん、何か新鮮だ。
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