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身長差から三世寺先輩の方が負担が大きそうだけど、少しは楽にはなると思う。
「じゃ、行きますか」
紙袋を挟んで並ぶと、三世寺先輩が俺を見て「……やっぱり光太郎はいいな」と謎の一言を吐いた。
三世寺先輩が通う剣術道場は学校から歩いて三十分くらいの場所にある。
俺がいつも買い物に行くスーパーから更に細い路地に入った所。
いかにも日本家屋といった門構えに、入るのを躊躇ってしまう。
「緊張してきた……」
「……臆する事は無い」
三世寺先輩に続いて門を潜り道場の方に案内されると、広い稽古場には折り紙や紙で出来た花で既に飾り付けがされていた。
「クリスマス会って稽古場でやるんですか?」
「……他に会場に出来そうな広い場所が無いらしくてな。しっかり後片付けをすれば問題無いそうだ」
稽古場は神聖な場所だから、パーティー会場にするのはどうかと思っていたけど。
「師範、飾り付けはこれでいいですか?」
「バカもん、もっと華やかにパァーっとやらんか!」
飾り付けをしていた中学生らしき子が、師範と呼んだ中年男性に叱りつけられていた。
あ、問題無いんだ。
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