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周りを見渡せば稽古場内は門下生の保護者なのか大人の姿も多い。
それに4、5歳の小さい子も走り回っている。
門下生の兄弟か何かだろうか。
さすがに5歳で剣術は習わないよな。
「三世寺さん、おはようございます」
中学生くらいの女の子が三世寺先輩からプレゼントの入った紙袋を「運んでおきますよ」と受け取り会場脇に運んで行く。
「今の子も剣術を習ってるんですか?」
「……門下生には女子も多い。なかなか強いぞ」
「そうなんですか。で、俺は何をしましょう?」
役割分担が出来ているのか、門下生やその保護者がテキパキと準備を進めていた。
人手が足りないって感じではなさそうだけど。
「……光太郎は、その……」
三世寺先輩が言い淀んでいる。
しばらくすると三世寺先輩は「……すまない」といきなり謝ってきた。
「……手伝いを頼むというのは虚言だ」
「きょげん? 嘘?」
「……俺が、どうしても光太郎と一緒に過ごしたかったから」
申し訳なさそうに目を伏せ、三世寺先輩が頭を下げる。
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