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「何だ、それなら手伝いとか言わずに普通に誘ってくれても良かったのに」
「……理由はそれだけではないからな。言えなかった」
俺は三世寺先輩を友達だと思っているから、どんな理由でも誘いは断らなかったと思う。
それでも三世寺先輩は気まずそうにしている。
「それだけじゃないって?」
理由を尋ねると三世寺先輩が俺の手を取り、ギュッと握り締めてきた。
「……光太郎が、他の誰かと一緒に過ごすんじゃないかと思ったら、堪えられなくて」
「え?」
「……例の、ピーマン君とか」
ピーマンく……宮園様の事を持ち出されて、ドキッと心臓が高鳴る。
「あの、それは……」
宮園様とは夜に一緒に過ごす約束をしていた。
もしかして見透かされたのかと、火照る顔を隠すように俯く。
「……頼む、今だけは」
「さ、三世寺先輩?」
「……今この時間だけは、光太郎を俺にくれ」
顔を上げると懇願するような表情の三世寺先輩が真っ直ぐに俺を見つめていて。
「解りました。クリスマス会、楽しみましょうね」
拒否なんか出来る筈も無く、ニッコリ笑って頷いた。
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