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「……今日、光太郎と過ごせて幸せだった」
「そんな、大袈裟な」
「……大袈裟ではない、本心だ。だから」
三世寺先輩が俺の後頭部に手を当てて引き寄せる。
そして俺の髪にそっと口付けた。
「え、あの……」
「……もう、行っていい」
どこか寂しそうに俺から離れると、三世寺先輩は一人稽古場の方に戻って行ってしまった。
三世寺先輩、どうしちゃったんだろう?
心配ではあるけど三世寺先輩を追いかけてはいけない気がして。
見えないと解っていながらペコリとお辞儀をして、俺も道場を後にした。
予定より少し早くクリスマス会が終わったので、一人で買い物をする事にした。
元々スーパーには行くつもりだったけど。
宮園様とクリスマスを過ごせる事に余程浮かれていたのか、100均で小さいクリスマスツリーを買ってしまって。
「何してんだ、俺」
会計を済ませてから冷静になり、ちょっと……いや、かなり後悔した。
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