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「予約してたケーキでしょ。今持って来るわね」
お店の中に入ると、すぐにお姉さんが箱を手に戻ってきた。
「お金は私が払っておくから。私からのクリスマスプレゼント」
「ふふっ」と笑いながらお姉さんが宮園様に目配せをする。
「唯、決めちゃいなさいよ」
「うるせぇ」
「ここで決められなかったら男じゃないからね。……引き千切るわよ」
何を引き千切るのか解らないが、お姉さんに黒い笑みを浮かべられて、宮園様がケーキの箱を受け取りながらぎこちなく頷いていた。
お姉さん……ちょっと怖い。
「コウ、お前用事済んだのか?」
お姉さんが仕事に戻る為にお店に入って行くと、気を取り直した宮園様が俺に声を掛けてくる。
「買い物もしたので、後は帰るだけです」
「んじゃ、帰るか」
宮園様がさり気なく俺の手からエコバックを奪い取り。
「ちゃんと肉買ったか?」
冗談っぽくそう言って、俺の隣に並んで寮のある方へと歩き出した。
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