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寮の建物の玄関まで来ると、メガネを外した美少年モードの藤代君が壁に寄り添うように立っていて。
「あ、宮園君……」
宮園様の姿を見つけるなり、頬を赤らめて嬉しそうに名前を呼ぶ。
「……と、石渡……光太郎……」
が、すぐに隣に立つ俺を見て、しょんぼりと肩を落としていた。
もしかして藤代君、宮園様に会いたくてずっと待ってたのか?
そりゃ、クリスマスだから宮園様と過ごしたいよね。
チクリと胸が痛む。
俺ばっかりが宮園様を独占しちゃいけないんじゃないか、そんな事まで思ってしまって。
「宮園様、俺、先に部屋に戻りますね」
「おい、コウ?」
宮園様の手からエコバックを取り上げる。
「ご飯作るにも時間がかかりますから、宮園様は後からゆっくり帰って来てください」
お姉さんに貰ったケーキの箱も奪い、「ごゆっくり」と二人を残したまま急いで部屋に戻った。
ホントは、二人きりになんてしたくない。
藤代君が宮園様を好きだと知ってるから、余計に。
でも、今の俺は藤代君の気持ちも解るから。
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