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顔を覆っていた手を退かして遠い目をする俺に、翼が優しく突っ込みを入れた。
「だって、キスしたんじゃないの?」
「したけど、別に宮園様に『好き』だとも『付き合ってほしい』とも言われてないし」
「傍に居ろって言われたのは?」
「それは……」
俺が宮園様を好きでいても、今まで通り傍に居ていいって意味じゃないの?
男が男を好きだなんてキモいと思われても仕方ないのに、拒絶しないでくれただけというか。
まぁ、この学校では男同士の恋愛は普通にあるみたいだけど。
翼もそうだし。
さすが男子校、女子が居ないと普通じゃない事も普通になってしまうんだな。
「じゃ、光太から言っちゃいなよ」
身体を乗り出して、翼がキラキラとつぶらな瞳を輝かせる。
「キスまでしたんなら、望みはあるよ」
「い、言える訳無いじゃん!」
俺が宮園様に『好きです、付き合ってください』なんて。
ってか、告白なんて今までの人生で一度もした事無いし!
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