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「ボクは……話なんか……無い……」
「俺はあるの。あ、そうだ、お菓子あげるから」
俺のカバンの中には翼から貰ったサンタブーツ。
その中から小さな袋のスナック菓子を取り出して、無理矢理藤代君の手に握らせた。
「要らない……」
突き返す藤代君の手を「いいから、いいから」と押し戻す。
「何ていうか……藤代君の勇気を称えたいんだよ。藤代君はスゴいなって」
「嫌味……?」
「そうじゃないよ」
藤代君が俯いて、手にしたスナック菓子の袋を見つめた。
「俺、宮園様が好きなんだ」
「……」
「でも、フラれるのが怖くて言えなかった」
藤代君は何も言わないまま、じっと下を向いて俺の話を聞いている。
「でも、藤代君が宮園様に告白したって聞いて。俺も負けてられないのかなって」
そこで藤代君がパッと顔を上げた。
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