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「この辺りに和菓子屋ってあるんですかね?」
「どっかにあるんじゃねぇか?」
中学まで隣の市に住んでいた俺は、学校の周辺の地理しか詳しくない。
入学してすぐに学校の周りを探索して激安スーパーや100均など生活に必要な店は見つけたが、和菓子屋までは学校の近くにあったかどうか覚えてないし。
「そういや、この近くに一軒無かったか?」
「俺に聞かれても解んないですよ」
「多分あったと思う。母親に頼まれて箱菓子を買いに行った覚えがあるような、無いような」
暗記が苦手な宮園様の記憶力は当てにならないけど、手がかりもなく探して歩くよりはマシか。
「じゃ、そこ行ってみましょうよ」
何とか記憶を呼び起こそうとしている宮園様を無理矢理歩かせ、茶菓子を求めて家電量販店を後にした。
和菓子屋を探して歩いている間、宮園様が「荷物、貸せ」と電気ケトルの箱を代わりに持ってくれる。
「ついでに、手も」
「手?」
自分の手をじっと見ていると、宮園様に手を掴まれてそのまま繋がれた。
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