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「宮園様、手を繋ぐの嫌なんじゃないんですか?」
俺としては宮園様と手を繋げるのは嬉しいけど。
「お前、この辺りは詳しくねぇんだろ? 知らない土地で迷子になられても困るし」
「迷子防止ですか」
例え迷子になっても、人に道を尋ねながらでも駅まで行ければ帰れるのに。
いざとなったらケータイで連絡もとれるし。
ふと周りを見回せば、通行人が通り過ぎ様に宮園様の方をチラチラ見ている。
赤い髪ってだけでも目立つのに、男同士で手を繋いじゃってるんだもんね。
宮園様もホントは嫌なんじゃないかな?
心配になりそっと力を緩めて離そうとするが、宮園様が離すまいとしているのか繋いでいる手にギュッと力を籠めた。
「宮園様?」
「何だよ」
「へへっ、何でもないです」
迷子防止だろうが何だろうが、嬉しいものは嬉しい。
周りの目なんか気にしないようにしよう。
「おい、あの赤い髪、宮園じゃね?」
「目を合わせるな、殺されるぞ!」
うん、気にしない、気にしない。
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