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「……光太郎が幸せになるなら、俺は想いを秘めたまま身を引こうと考えていた。だが、それは間違いだったみたいだ」
「三世寺先輩?」
肩を抱いていた手を俺の身体に回し、三世寺先輩が後ろから抱き締めてきた。
「……この男では光太郎を幸せには出来ない。だから、俺と夫婦になってくれ」
……めおと?
アレか、夫婦茶碗とか夫婦漫才とかの夫婦か。
って、夫婦!?
「無理です! 俺まだ高校生ですよ!?」
「歳の問題じゃねぇよ」と宮園様が苛ついたように突っ込みを入れる。
「……俺も未だ学生の身だが、そんなのは時間が経てば問題にはならない」
「ぇえ!? いや、でも」
これってプロポーズじゃないですか?
何でいきなりプロポーズ?
周りを見渡せば他のお客さんが何事かとこちらを注目してるし、小豆色の作務衣を着た女性店員は「あらあら、藤真さんったら」とクスクス笑っている。
俺……茶菓子を買いに来ただけなのに……。
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