告白

22/26
前へ
/400ページ
次へ
「お二人共、ウチのお店に買い物に来てくださったんでしょう? 藤真さんが邪魔してどうするんですか」 「……申し訳ありません」 「さぁ、お二人も。今日のお勧めは抹茶のどら焼きと栗饅頭ですよ。好きな物を選んでくださいな」 女性店員に叱られた三世寺先輩がしょんぼりしている。 もしかして俺の所為かと思ったら胸が痛い。 「藤真さんは裏に行ってお手伝いしてらっしゃい。お客様の相手は私がしますから」 「……はい」 半ば追い出されるように三世寺先輩が店の裏に行くと、女性店員が三世寺先輩の代わりに「ごめんなさいね」と謝ってきた。 「藤真さんがあんなに感情的になるなんて、珍しいわね。小さい頃から大人しくて手のかからない子だったのに」 「え? 小さい頃って……」 「ご挨拶が遅れました。藤真の母です」 ペコリとお辞儀をする女性店員、三世寺先輩のお母さんに俺も挨拶をしようと、俺を抱き締めていた宮園様の胸に手を当てて押し戻す。 「あの、三世寺先輩にはお世話になってます。俺は石渡光太郎です。で、こっちは宮園ゆ……」 下の名前まで言おうとして、宮園様の手によって口を塞がれた。 .
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12453人が本棚に入れています
本棚に追加