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帰省用の大きなカバンを背負ったまま部屋の中に入り、ベッドにもたれながら床に座る宮園様の隣に腰を下ろす。
「俺は……実家の居心地が悪いから早く帰って来たんだよ」
「実家で何かあったんですか?」
「姉貴がうるせぇんだ。コウはどうしてるんだとか、どうなったんだとか」
え、俺?
そういえば宮園様のお姉さん、俺の話を色々聞いてるとか言ってたっけ。
「姉貴には逆らえねぇんだよ。小学生の時に馬乗りで押さえ付けられて無理矢理ピアスの穴を開けられた事があって、それがトラウマになってんだと思う」
「それは……怖いかも」
背負ったカバンを床に下ろして、宮園様の赤い髪に隠れた耳を見つめる。
「アレ、でも宮園様ピアスしてないですよね?」
「今はしてねぇ。ケンカの時に引っ掛けて流血した事があるからな」
「うわ、痛そう」
そっと手を伸ばして宮園様の耳朶に触れると、確かにピアスの穴の跡。
ずっと一緒に居たのに、全然知らなかった。
俺の知らなかった宮園様の事を知れるのは、スゴく嬉しい。
知る度にどんどん宮園様を好きになっていく気がするから。
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