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「コウ」
宮園様の耳に触れていた手を掴まれ、グイッと引き寄せられて抱き締められる。
「え、あの、宮園様?」
「しばらくお前に会えなかったからな」
それは、宮園様も俺に会えなくて寂しいって思ってくれたって事?
会いたいって思ってくれたのかな。
「顔、上げろ」
宮園様の胸に埋めていた顔をゆっくり上げると、間近で俺の顔を見つめた宮園様が「このアホ面も久しぶりだな」なんて失礼な発言をしていたけど。
「それでも可愛く見えるとか、俺は相当重症なのかも」
チュッとリップ音をさせて、俺の口唇にキスを落とした。
そんな事されたら、『アホ面』と言われた事を怒れないじゃん。
宮園様のバカ! でも好きだ!
散々された抱擁とキスに堪えて顔の火照りが治まった頃に、宮園様が「姉貴からだ」とハート型のサブレを俺に手渡した。
パッケージからして、お姉さんのバイト先のケーキ屋の物みたいだけど。
「赤飯の代わりだとさ」
宮園様、お姉さんにどこまで話したんですか。
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