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「あの、俺帰ってもいいですか?」
用事が無いなら早くこの場から退散したいのに、山本先輩に「まだ用事終わってないし」と引き留められる。
「正月にやっくんの家族旅行に混ぜてもらって、温泉行って来たんだ。そのお土産があるから一緒に食べようと思って」
「親同伴だから、何も出来なかったがな」
ウキウキしながら箱菓子の包装紙を破る山本先輩を尻目に、薬師堂先輩が残念そうに呟いた。
薬師堂先輩、何をするつもりだったんですか。
「三世寺、お茶」
椅子に座り薬師堂先輩が一言だけ言うと、三世寺先輩があっさり宮園様から目を離して指導室の隅にある給湯室へ移動する。
三世寺先輩、相変わらず薬師堂先輩の命令には忠実なんですね。
「宮園君とコウくんも座って、座って。お土産はチョコ饅頭と温泉クッキーがあるよ」
言われた通りに椅子に座ると宮園様も俺の隣に座ったが、薬師堂先輩が気に入らないのか長机に頬杖をついて不機嫌そうに顔を背けていた。
そりゃ、薬師堂先輩はさっき三世寺先輩の応援をしていたしね。
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