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「一人二個ずつね」と山本先輩がお菓子を配っている内に、湯飲みの乗ったお盆を手にした三世寺先輩が戻って来る。
「さんちゃんも座って」
三世寺先輩が一瞬だけチラリと宮園様に視線を向けてから、宮園様と反対側の俺の隣に腰掛けた。
もしかしなくても、一緒にお菓子を食べる為だけに校内放送で呼ばれたのか?
いや、お土産のお菓子は嬉しいけど。
最初は山本先輩の温泉での土産話を聞いていたが、いつの間にか俺と宮園様の話題になって。
結局山本先輩や薬師堂先輩にも、俺と宮園様が付き合っているのがバレてしまった。
「三世寺はそれでいいのか?」
お茶を啜りながらの薬師堂先輩の問い掛けに、三世寺先輩がしっかり頷く。
「……今は横恋慕という立場だが、いずれ光太郎は俺が幸せに致します。求婚もしましたので」
「さ、三世寺先輩!」
『求婚』という単語に、薬師堂先輩が湯飲みを手にしたまま肩を震わせて笑いを堪えている。
「え、じゃあコウくんは宮園君ともさんちゃんとも夫婦になるの? 一夫多妻? 違うか」
山本先輩は黙っててください。
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