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「山本先輩、朝早いんですね」
俺と宮園様だっていつもより早いけど、それより先にこんな所に居るなんて。
「今朝、雪積もったでしょ? それで風紀委員と美化委員で手の空いてる人が、雪片付けをする事になってねー」
「それで、風紀委員でも美化委員でもない山本先輩は何してたんですか?」
「やっくんに言われてお手伝い」
してなかったよね?
雪玉投げて遊んでたよね?
「コウ」
俺と山本先輩の会話を傍で聞いていた宮園様が、コッソリ俺に耳打ちして山本先輩を指差す。
「後ろ」って何の事かと思ったら。
「お前は雪片付けの手伝いも出来ないのか。このバカが」
山本先輩の背後でスコップを手にした薬師堂先輩が、苛立ったように銀縁のメガネを指で押し上げて立っていた。
「あ、オレあっちで雪片付け手伝って来ようかなー」
「とぼけようとしても無駄だ。先刻まで遊んでいたのを見ていたからな」
逃げようとした山本先輩のジャンパーの襟首を掴み、薬師堂先輩がニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
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