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「あの、薬師堂先輩?」
「何だ?」
「山本先輩の事、大事に想ってるんですよね?」
『好きなの?』とハッキリ聞けなくて遠回しに言うと、薬師堂先輩が山本先輩に向けていた視線を俺に戻し。
「やはり、自分の事には疎いのに他人の事には鋭いんだな」
口の端を僅かに上げて笑った。
「山本は寮長に任命される前から、先代の寮長に可愛がられて寮長補佐をしていたんだ」
「補佐?」
「雑用みたいな物だ」
山本先輩は人懐っこい所があるから、先輩にも可愛がられてたんだろうな。
「以前石渡君が風邪を引いて山本が見舞いに行った事があるだろう? 石渡君だけじゃない、他の生徒が体調を崩して寝込んだ時も見舞いに行っているんだ、アイツは」
「そう、だったんですか」
入学してから俺も翼も具合が悪くて寝込んだ事が無かったから、知らなかった。
寮長が替わったのすら知らなかったし。
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