12456人が本棚に入れています
本棚に追加
「相手が素行の悪い生徒だろうが、アイツは偏見無しに近付いて行く。だから慕われるんだろうな。厄介な相手に好かれやすいってのもあるが」
銀縁メガネを押し上げながら、薬師堂先輩が溜め息混じりに呟く。
告白されていきなりキスされたりしてましたもんね。
しかも前にも何度かあった、みたいな事を言ってたし。
「俺とは正反対なんだ。だからこそ惹かれる」
銀縁メガネの奥の目が優しそうで、何だか俺まで温かい気持ちになってしまった。
「ソレ、山本先輩には言わないんですか?」
「今はまだ言うつもりは無い」
薬師堂先輩が言わない限り、山本先輩は気付きそうもないのに。
でも、俺の思いは余計なお世話だったのかもしれない。
「周りを固めて、逃げられないようにしてから仕留めるのが楽しいんだ」
そう言って喉の奥を鳴らしながら笑っている薬師堂先輩が、一番厄介な人物ですよ。
山本先輩、頑張ってください。
.
最初のコメントを投稿しよう!