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正面玄関から校舎に入ると、既に多くの生徒が登校している。
宮園様と一緒に教室に向かうが、余程近寄りたくないのか他の生徒が壁に貼り付くように宮園様を避けていた。
ついでに宮園様の隣を歩く俺を不思議そうに見つめながら。
俺、周りの人にどう見られてるんだろ?
宮園様の友達? 舎弟?
まさか恋人だとは思わないだろうな。
俺と宮園様が付き合ってるのは、一部の人しか知らない。
だからってバレるんじゃないかと怯える気持ちは無くて、内緒の関係ってのが擽ったいだけ。
部屋の中でしかイチャつけないけど、それはそれでいいと思ってる。
学校でまでイチャついたら、俺の心臓がもたないし。
でも、ちょっとした悪戯心は芽生えるよね。
「あの、宮園様?」
「何だよ」
自分の教室の近くまで来て立ち止まる宮園様の服を指先だけで摘まみ、クイッと引っ張る。
「あ?」
少し屈んだ宮園様の耳に口唇を寄せ「唯、大好き」と小声で囁くと。
「こんな所で言うんじゃねぇよ!」
顔を真っ赤にした宮園様に平手で頭を叩かれた。
うん、これじゃ絶対周りの人に恋人だとは思われないよな。
そんな宮園様も好きだけど。
【終】
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