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それから二人で一緒に遅い晩ご飯を食べた。
「美味しいですか?」と聞いてみても、宮園様からは「普通」としか返って来ない。
いつか絶対『美味しいです、光太郎様』と言わせてやるからな。
あ、『光太郎様』は言い過ぎたわ。
洗い物をしているうちに宮園様がお風呂に入り、その後にお風呂に入った俺が風呂場から出ると、宮園様は着替えをして出掛ける支度をしていた。
「宮園様、今日もお出かけ?」
「俺が居ない方が、お前だって気を遣わなくていいだろ」
「そんな事無いですよ~」
正直な気持ちを伝えたのに、宮園様は信じてないらしい。
「俺の事は気にしなくていい。お前は先に寝てろ」
支度を済ませて部屋を出ようとドアを開ける宮園様の後ろ姿に「明日も学校あるんだから、あんまり遅くまで夜遊びしちゃダメだぞ」と親切心から注意をすると。
「うるせぇよ」
僅かにこちらを向いた宮園様が、一瞬だけ笑っていたように見えた。
気の所為……じゃないよね?
宮園様でも笑うんだ。
不良の意外な一面を見てしまった、なんて考えながら遠慮なく先に寝る事にした。
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