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そもそも何の用で呼び出されたのかも解らないので、最初から下手に出ておこうと思っただけなのに。
寮長は笑いを堪えてるし、風紀委員長は呆れたように俺を見ている。
「まぁ、いい。石渡君、寮の部屋を替わったらしいな」
「あ、はい」
正座をしたまま見上げる風紀委員長は威圧感がある。
そりゃ、寮長も大人しく正座なんかしちゃう訳だ。
「風紀にそんな届けは出ていないし、許可もしていない」
「だから寮の管理人も許可してくれたって言ったじゃん」
笑い終わった寮長が口を挟むと、風紀委員長がギロリと寮長を睨む。
それも「お前に発言を求めてない」とか言いながら。
風紀委員長、怖っ!
正座してて正解だったかも。
「そんなにホイホイ部屋を替わっていたら、他の生徒にも示しがつかないだろう。今すぐ部屋を戻しなさい」
「え……」
部屋を戻すって事は、翼と松森隼人を引き離すって事になる。
せっかく翼が、松森隼人と一緒に居る時間が増えたって喜んでたのに。
「それは出来ません」
俺には、翼の天使の微笑みを曇らせる事なんて出来ない。
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