呼び出し

12/20
前へ
/400ページ
次へ
そもそも何の用で呼び出されたのかも解らないので、最初から下手に出ておこうと思っただけなのに。 寮長は笑いを堪えてるし、風紀委員長は呆れたように俺を見ている。 「まぁ、いい。石渡君、寮の部屋を替わったらしいな」 「あ、はい」 正座をしたまま見上げる風紀委員長は威圧感がある。 そりゃ、寮長も大人しく正座なんかしちゃう訳だ。 「風紀にそんな届けは出ていないし、許可もしていない」 「だから寮の管理人も許可してくれたって言ったじゃん」 笑い終わった寮長が口を挟むと、風紀委員長がギロリと寮長を睨む。 それも「お前に発言を求めてない」とか言いながら。 風紀委員長、怖っ! 正座してて正解だったかも。 「そんなにホイホイ部屋を替わっていたら、他の生徒にも示しがつかないだろう。今すぐ部屋を戻しなさい」 「え……」 部屋を戻すって事は、翼と松森隼人を引き離すって事になる。 せっかく翼が、松森隼人と一緒に居る時間が増えたって喜んでたのに。 「それは出来ません」 俺には、翼の天使の微笑みを曇らせる事なんて出来ない。 .
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12465人が本棚に入れています
本棚に追加