12451人が本棚に入れています
本棚に追加
「キミも大変だねー」
部屋の入り口で待機している俺に、寮長は救急箱だけじゃなく大量の包帯と湿布も手渡す。
「コレ使う相手、例の宮園君でしょ?」
「まぁ、そうです」
「やっくんがボヤいてたもんねー。『バカ共の所為で仕事が増えた』って」
『やっくん』って、あの風紀委員長だな。
もしかして宮園様がケンカしたのも、相手が誰なのかも知ってる?
「あの、宮園様、また上級生に絡まれたんですか?」
「オレは詳しくは知らないけどー。相手は三年生らしいよ?」
「そう、なんですか」
宮園様がケガをするなんて、相手は相当強かったんだろうか?
いや、相手が一人とは限らない。
もしかしたら大人数を相手にしたのかも。
「心配?」
「え?」
考え事をしているうちに俯いてしまっていた顔を上げると、寮長がニッコリ微笑みながら俺を見つめていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!