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翌日のデートコースは、水族館の見学とショッピング。
季節は9月。
東京では少しずつ季節が秋へと近付いていく頃だけど、ここ沖縄はまだ真夏のような気候だ。
昨日はいっぱい海で遊んだ。
だから今日は、陸を通じて遊ぶ。
「あ~、楽しかった!」
デートを終え、少し早目にホテルへと戻ってきた私たち。
時刻はまだ、14時を回ったばかりだった。
「疲れただろ?
少し休憩してから、ホテル内の施設で遊んでこよう。」
「うん!」
そう返事をしベッドに寝転がった直後、強い眠気が私に襲い掛かってきた。
遼と一緒に過ごす幸せな時間。
残されたわずかな時間を満喫しようと、少しはしゃぎ過ぎたのかもしれない。
目が覚めたら、遼はどこに連れて行ってくれるのだろう?
海の見えるプール?
それとも、併設されている植物園・・・?
海の見える素敵なホテル。
このホテルを選んだもの遼だった。
彼のデートプランはいつも最高だった。
だからきっと今日も、最後まで素敵な時間を過ごせるはず・・・。
「・・・り、悠里。
そろそろ起きてよ。」
私の体を揺さぶる、彼の大きな手。
もっと触れていて欲しいから、私は少しだけ寝たふりをして待っていた。
「ったく、もう・・・。」
私の体を揺する手が離れ、暖かく柔らかい彼の唇が頬に触れる。
そしてその口は、優しく私の唇へと移動した。
「・・・フフッ。」
その幸せな瞬間に、思わず笑みを零してしまう。
目を開けてみると、少しだけ困った顔をした遼の顔が私の目の前を塞いでいた。
「・・・お前、起きてただろ?」
「えー?」
「ニヤけけるからバレバレ。」
「あ・・・!!」
彼は何でもお見通しだ。
ワンパターンな私の『構って』コール。
この3年半の間、いつも彼はそのサインを見落とさなかった。
「ほらっ、出掛けるよ。
そろそろ予約の時間になっちゃうからさ。」
遼は私の体を起こし、床に転がっていたミュールをベッドサイドに並べてくれた。
そしてミュールに足を乗せた私の手を引き、ホテルの部屋から連れ出してくれる。
これから一体、どこに向かうのだろう。
先の見えないドキドキに、いつも胸を躍らされる。
そしてこの日、彼が用意していた最高の演出は・・・。
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