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俺の妙な間に勘付いたのか、少し困ったように笑いながら自然な流れで向かいの席へ腰を下ろしてきた。
「あ、ごめん…
気づかなかった?」
「あ…ちょっとだけ
私服だったんで…」
「そうだよね(笑)
どう?緊張した?」
「いえ、おかげさまで」
「そっか!良かった良かった!」
そう言いながら笑った顔が本当に嬉しそうで、俺も自然と笑顔になっていた。
「杉下くん…だっけ?
俺は中川春喜、これからもよろしくね」
「はい、よろしくお願いします
杉下冬舞です。
あ、でもまだ合格かどうか…」
これからも、という言葉に少しの否定を入れようとすると中川さんは更に笑みを深くして俺の言葉を遮ってきた。
「受かってるよ、きっと!
面接中の店長楽しそうだったし(笑)」
確かに話はそれなりに盛り上がったが、あれは果たして楽しそうだったのだろうか?
少し疑問はあったけどとりあえずお礼は言っておいた。
「ありがとうございます…?」
「フフッ
あ、そうそう!
もう帰っていいってさ」
疑問形になってしまった事に笑われたようだが、気にせず帰る準備をはじめた。
「あーじゃあ店長さんに挨拶とかした方がいいんですかね?」
「あ、そうだね!
じゃあこっちおいで」
中川さんはそう言いながら立ち上がると奥へと入って行った。
俺は一応失礼しまーす…と呟きながらその後を追って入った。
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