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兄弟が数人ある場合に父と母にそれぞれ割り当てられ、兄弟は離れ離れとなる。
恐怖しか持たない次郎と母が離婚を決意しなかったのは、子供たちを手放したくなかった。それだけの理由である。
事実、次郎のあまりの暴力に政一やゆこは離婚をふきに促すこともあった。
政一やふきは孫たちが離れ離れとなっても仕方がないと思う節もあった。
手を引かれて階段を歩くひでは、また疑問を母に投げる。
「もし離婚したら、お兄ちゃんやのりはどうなるの」
今度は、母が足を止めた。
既に階段を登り終えてあとは寝室にむかうだけである。
母は言葉を絞り出す。
「誰か、お父さんについて行かなければならないかもしれない……」
ひでは、うんと頷いた。
「もし、そうなったら僕が行くよ」
母がハッとひでを見た。
「どうして、そんなことを言うの」
ひではうつむく。
「だってお兄ちゃんものりもお父さんが嫌いだもん。誰か諦めなきゃ……」
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