迷っても

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母はぎゅうっとひでを抱き締めた。 「大丈夫だから。三人ともお母さんの子だから渡さないよ。だから、そんなことは言わないでね」 ひでは力無くうんと答えた。 それから数ヶ月して、ふきと次郎は離婚について話し合うようになった。 その期間はふきと次郎は離れて暮らした。 だが結局、離婚には至らなかった。 ふきがわざわざ、次郎の実家に頭を下げに行ったのである。 その一番の理由は子供たちを手放したくなかったからだ。 子供たちは頭を下げた理由を母に揃って訊ねた。 しかし、理由を聞くと誰も母を責めることは出来なかった。 そして、次郎の暴力はまだ続くのである。
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