信じても

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その探す手立ての一つとして霊媒師や占い師も頼ったのである。 そうして行き着いた病院で、ひでの喘息の発作は安定した。 そういった経験がかずやのりにはないのである。 幼い頃から、そういった経験や話を聞いたひでが信心深くなるのは当然かもしれない。 さて、季節はずれの秋口に特番で組まれた幽霊番組を見ていたひでは、突然にあっと口走った。 その内容とは、まだ貧しかった日本の田舎では、墓石も買えず卒塔婆も立てられなかった人々は、墓石の代わりに河原や山で拾った石を使ったというものであった。 「ひで、どうしたの」 母のふきが津軽訛りでひでに訊いた。 ひでは頭をふるふると振ってなんでもないと答えた。 しかし、がくがくと震えるひでを見ていると決してなんでもなくはないと思えるのである。 そう。それはまだ大介が引っ越す前の出来事である。 あるとき、大介と大介と同じ学年のあゆみと遊んでいた放課後である。
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