信じても

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突然に大介が肝試しをしようと言い出したのである。 それに合わせるようにあゆみもしようと手をあげた。 怖がりのひでであったが男の子の見栄がある。女の子のあゆみに、同意されては嫌だとは言えなかった。 「しようしようっ」 内心とは裏腹に声をあげた。 「それで何するの」 あゆみが無邪気に大介に訊ねた。 大介はにかりと笑う。 「墓場を探検するんだっ」 その言葉を聞いてひでは青ざめた。 呪われるのではないか。 死んだ人に失礼ではないか。 そう思ってもひでは、あゆみという女の子の手前言い出せなかったのである。 当のあゆみは行こう行こうとはしゃいでいる。 幼い大介とあゆみは、怖さというより不可思議な現象への憧れがあったのだろう。 学校でも不思議な体験を語る者は一躍人気者になる。 できるならば不可思議な現象を体験してみたい。 二人とも、そのように考えたのだろう。
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