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大介の提案を王余魚沢の大人たちが聞いたならば、罰当たりと叱ったであろう。
しかし、大介は両親が共働きである一人っ子のためか、大人たちに信用されていた。
流石にバカはしないだろうと子供たちで遊ぶ午後も放任だった。
また、両親からの信用が篤いと周りの大人もあの子はしっかりしているとなぜか信用するのである。
王余魚沢の墓所は森の中にある。
細い小路を抜けて斜面となった森を少し下るとそれはある。
ひでは、その小路を抜けきるまで何度も足を止めた。
大介とあゆみが、ニヤニヤと笑いひでに怖いのかと何度も訊ねる。
その度に、ひでは怖くないもんと足を進めた。
そうして進むと森の中に視界が開けた場所がある。
墓石に卒塔婆、それと所々に石が置いてあった。
大介が、これなんだろうと石を指差した。
ひでもあゆみも家の墓は墓石であったため、それも墓石であると思えなかったのである。
ひでは既に怖じ気づいていた。
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