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とうとう帰ろうよと呟いてしまったのである。
それを聞いた大介は笑う。
「ひでは怖がりだなぁ」
そう言って、その石に飛び乗った。
「今まで何にもないんだから何もないよ。ほら、ひでも乗ってみ」
大介は、ぴょんぴょんと石を飛び跳ねていく。
ひでもこくりと頷いて大介が乗った石に飛び乗った。
あゆみは、ぼうっとその二人を眺めていた。
そして二人に声をかける。
「何か寒いよ。帰ろうよ」
それには大介もひでも首を傾げた。
初夏ではあったが、二人が寒いと思うほど寒いと思えなかったのである。
あゆみに言われると大介はうんと頷いた。
「何にもなかったしね」
それを聞いたあゆみが、墓所の真ん中に向かって手を合わせた。
「ごめんなさい……」
それを見たひでもあゆみと同じように手を合わせる。
「ごめんなさい……」
大介は、そんな二人を見て、何だよとふてくされた。
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