学んでも

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雪がちらつき始めた十一月のある日、王余魚沢小学校の生徒たちにプリントが配られた。 その内容が王余魚沢の歴史を学ぼうというものだった。 王余魚沢小学校の授業内容で週に二時間ほどレクの時間があった。 ほぼ遊びの時間と言っても過言ではないが教師たちは、子供たちに色々なことを学ばせようと頭を悩ますのである。 そのプリントを配った対馬先生が教壇の前に立って口を開く。 「みんな興味あるかな」 対馬先生の前の一年生と二年生は全員首を縦に振る。 「知っている人っているの」 誰かが疑問の声を投げた。 対馬先生はにこりと笑う。 「王余魚沢のことを調べている人がいたから、その人から教えてもらうんです。先生もちょっと楽しみなんだよね」 先生もちょっとと楽しみという言葉に生徒たちは微笑む。 「先生も勉強するの」 また誰かが疑問を投げた。 やはり対馬先生はにこにこしている。 「先生は勉強したから先生になれたんです」
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