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「先生になっても勉強するの」
「先生になったらもっと勉強しないと君たちに勉強を教えられないよ」
無邪気な対馬先生の返答に全員がへぇと声を上げた。
「まぁ先生のことはいいから、みんな王余魚沢のこと勉強しようね。今週の土曜日に王余魚沢の先生が来てくれるから」
「はーい」
子供たちの元気な声が小さな学校の中に響き渡った。
その中には無論、ひでも含まれる。
そのやりとりがあったのは放課後で今日もやはり居残りのひでである。
しかし、居残りの宿題も気がそぞろだった。
ひでも当然に王余魚沢の名前の由来が知りたい。
そして、どこかで土曜日の授業の前にその由来を知りたいと思っていた。
生徒の中には、それほどに執着する者があったかなかったかははっきりとはしないがひでは仲間を出し抜きたかったのである。
第一みんなが知らないことを知っているのは格好良い。
家に帰ったら誰かに聞こうと宿題を上の空でやり、間違いを繰り返してはやり直しを食らった。
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