学んでも

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ひでが宿題を終えて帰宅したのは十七時半だった。 家に入るなり台所に立っていた祖母の声が響いた。 「どこで何してたっ」 ひでは小学校に入った時点で門限が定められている。 その時刻が十七時半なのである。 ひでは殴られでもしないかとはらはらしながら正直に答える。 「学校で勉強してた……」 祖母がそうかと語気を和らげる。 「それならいいよ」 津軽訛りでゆっくりと言葉を返した祖母にひでは訊ねてみる。 「ねぇ、おばあちゃん。王余魚沢はなんで王余魚沢っていうの」 祖母がぶっきらぼうに答える。 「お母さんに聞きなっ」 ひでは少し肩を落とす。 「分かったっ。ランドセル置いてくる」 そう言って二階の部屋へと向かった。 ひでの部屋は兄のかずと一緒の二人部屋である。 六畳のその部屋には二段ベッドと勉強机が二台置かれている。 部屋に入ると兄のかずが二段ベッドの下の段に寝転びながら漫画を読んでいた。
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