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だが詳しく解る者は誰一人としていなかった。
その会話の中で一つだけ正しいと思うものが一つだけあった。
それは王余魚沢の王余魚の部分は魚の「鰈」ではないかということだ。
「王様の余した魚が鰈だってことかな」
誰かが推理を始めた。
「多分ね……」
自信なさげに誰かが答えた。
結局正しい答えは土曜日まで持ち越しである。
そして土曜日がやってきた。
その日は雪がちらついていて寒い日だった。
ひでの家では冬場は薪ストーブをたく。
それは十月に入った辺りから度々仕事を始めていた。
ひでが起きて居間に向かうと祖父が薪ストーブに薪を入れている。
ああ冬が来たんだと窓から見える銀景色と薪ストーブの暖かさでひでは感じた。
今日は王余魚沢の歴史を学ぶ日である。
しかし、ひでの執着はすっかり失せていた。
他の子供たちも特に気にしている素振りは特に見せなくなっていたからだ。
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