歩いても

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しかし、ひでの今日の目的はアイスクリーム屋だ。 昔からチリンチリンアイスと呼ばれる段々のアイス。 それは到底、隣の酒屋で入手出来ない代物だった。 ひではありがとうと高い声で叫んでから家を出る。 そのアイスクリーム屋とは、ひでの家のはす向かいの家であったので、直ぐに買えるだろうとひで自身も高をくくっていた。 暑い夏の日差しが降り注ぐ青森の田舎。 温度計は二十八度まで届くことはなかったが、その地に住む者にとってやはり暑い夏だった。
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